おにぎりを食べ終えた私は次の授業の準備を始めた。あと30分くらいで3限目が始まる為、そろそろ他の学生も教室に来る頃だろう。

「友達、出来なかったの?」

しかし、意外なことに天音さんがその手の話題に乗ってきた。

自分でひけらかしておいて何だが、ダイレクトに言われると心に刺さるものがある。でもこれは自分で蒔いてしまった種だ。大人しく口を開いては簡潔に経緯を説明た。

「いやぁ、ちょっと帰国が遅れて入学式とオリエンテーションに間に合わなくて」
「帰国?海外旅行でも行ってたの?」

天音さんの問いかけに、私はふるふると首を横に振る。

「海外の高校に行ってたんです。6月に卒業して、そのまま入学式まで向こうで遊んでいまして。いざ帰国って時に母親が間違えて福岡行きの飛行機を手配してたんですよ」

すると拍子抜けしたように目を丸くする天音さん。