彼と少しでもお近づきになりと云わんばかりに、わんさかと10人ほどの生徒が我が先にと話し掛けていた時。

ついに天音さんが爆発したのだ。

講義室中に響き渡る声量で「お喋りに付き合う為に来た訳じゃないんだけど」と、そう一蹴したのである。

当然その場はシラけた。その後も懲りずに何度かアタックする女子学生もいたが、彼はまるで何も聞こえていないかのように無視を決め込んでいた。意図的に視界に入れようとしなかったのだ。

まぁ率直に言うと、彼も態度が悪かったのだ。

せっかく寝る間も惜しんで大学に来ている天音さんの気持ちも分かるから、私はただ遠巻きに眺めていただけだけなんだけど。

一連の流れを指していることを察した天音さんは、思い出したようにため息をつく。