その日の後、相馬さんがまた家を訪れるのではないかと思ったが、もう相馬さんが来ることはなかった。

昔から相馬さんは強引だけど、本当に私が嫌がることだけは絶対にしなかった。

あの日の相馬さんの言葉が、もう一度よぎる。



「だからもう一度、初めから由里にアピールするよ」



その甘い言葉を、たった一言の「離さない」を何故二年前のあの日に言ってはくれなかったの?