「次に嫌いって言ったら、その口塞ぐから」 「相馬さん、もう私は貴方の婚約者じゃない。そんなことを言われる筋合いすらない」 私は相馬さんの顔を見ながら、はっきりと言った。 「そうだね。でも、どうか頼む。俺のことを好きじゃなくてもいい。でも、もう二度と嫌いなんて由里の口から聞きたくないんだ」 そう言った相馬さんの顔は今まで一番苦しそうだった。