「これはこの家のための結婚よ。決して貴方のためじゃない。二年前、貴方が相馬さんを選んだ時、私たちは反対した」

「由里には言っていなかったけれど、うちはずっと経営不振が続いていたの。由里の結婚に賭けるしかないほどに」

「そしたら相馬さんが私たちに挨拶に来た時、こう言ったの」

「今、一時的に自分が補助をしても、長続きしないと。経営方針を根本から見直したほうが良いと言われたわ。そして、うちの海外進出を手伝うと名乗り出てくれた」

「由里に心配をかけたくないと、相馬さん自身の会社のために海外転勤になるとまで嘘をついてくれたわ」

両親の言葉に、私は気づいたら涙が溢れていた。