物体は急にピョンと跳んだ。
 途端に体が紐のようになった。細長くなって天井まで伸びている。
 有り得ない姿だった。

 そのとき扉が叩かれた
「おいっ、ここを開けろ!」
 対岸から来たアーロンだった。力任せにこじ開ける。

 と、そこで見たものは。
 部屋を上下に浮遊している白い物体だった。その隅で男らが固まっている。

 アーロンも絶句した。
 だがすぐ床の娘に気がついた。駆け寄って助け起こす。
 そして背にかばった。男達から、ではなく白い物体からだ。

 部屋には外光が射し込み、アーロンが破った戸が開いている。
 男らは這うようにそこへ向かった。外に出てやっと声が出た。
「ギャーッ」
「うわーっ」
 絶叫が響き渡った。