グリント―ル国の中枢が、徐々に変化していった。

 脈絡がなく建て回しのようだった各部署が、まるでシナプスが芽生えるかのようにつながり始めた。
 
 アーロンは政務室を訪れてオルグや宰相補佐とたびたび接する。
 シュテルツの体調がいいときには彼も交えて話し込む。

 シュテルツは、
「自覚が芽生えて来られましたね」
 嬉しそうに告げた。

「なにを言うのだ、上から目線で」
 照れたように返した。

 軍部は彼の真骨頂だった。
 特に国境の有り方に力を入れ、バッハスとの境界に大幅な国軍を加えた。

 全国の領主と懇談し、その領兵と国軍との融合を図っていく。有事の際、挙国一致の戦力を得るためだった。

 また国軍の幹部の一人に、ラクレス隊の隊長だったガイを任命した。
 彼は数万の兵の上に立つことになった。


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