数秒後に歓声が起こった。
 それは大合唱になり拍手になった。

「今までにない国、ですか」
「それはいいかも知れない」
 そんな声が起こる。

 ほんの数週間前、センダで起こった悲劇を皆は知っていた。
 兄弟王が血で血を争う戦を起こした。
 結果、命を落とした両軍の兵、バッハス国民は途方もない数だった。
 今、かの国は山賊まがいに凌駕され、全土が無法地帯になっている。

『新しい国を創ろう』という言葉がなにかを動かした。

 この新王の元で何かが変わるかもしれない、そんな気運が生まれていた。

 それをシュテルツが見ていた。
 顔を赤らめ涙を浮かべていた。

 オルグが、宰相補佐が、息を詰めて何度もうなずいていた。


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