シュテルツは会議の閉会を告げようとした。
口を開いたとき、
「お待ちください、ご報告したいことがあります」
オルグが飛び込んできた。
会場の注目を浴びながら、
「政務を担当しているオルグと申します。本日の次期国王陛下選定にかかわることでございます。発言を認めていただきたく存じます」
シュテルツが促すと、
「私は業務上、毎日上がって来る市民の要望書に目を通しております。その中に注目すべき物件がありました。提出者はこの王都の南東にある娼館の経営者です。彼はもらえるはずの金を反故にされたと訴えて来たのです」
いったい何を言い出したのか、皆がオルグを見た。
「午前中の会議で、ガイゼル伯が注目の発言をされました。伯は、あろうことかアーロン・ハインツ様のご出自を問題にしたのです。しかしこれはガイゼル伯の大きな心得違いだと拝察しました」
「つまり、それはどういうことですか」
シュテルツは議長の言葉で対していた。
「失礼ながらガイゼル伯はご自分の裏の事情と、ハインツ様のご出自を取り違えておられます。ここは次期国家元首を選定する厳粛極まる場所です。そのため雰囲気にのまれて筋違いなことを口走られたと思うのです」
オルグはガイゼルに対し敬語を使っていた。
しかし言葉の底に伯を愚弄しかねないものが潜んでいる。
口を開いたとき、
「お待ちください、ご報告したいことがあります」
オルグが飛び込んできた。
会場の注目を浴びながら、
「政務を担当しているオルグと申します。本日の次期国王陛下選定にかかわることでございます。発言を認めていただきたく存じます」
シュテルツが促すと、
「私は業務上、毎日上がって来る市民の要望書に目を通しております。その中に注目すべき物件がありました。提出者はこの王都の南東にある娼館の経営者です。彼はもらえるはずの金を反故にされたと訴えて来たのです」
いったい何を言い出したのか、皆がオルグを見た。
「午前中の会議で、ガイゼル伯が注目の発言をされました。伯は、あろうことかアーロン・ハインツ様のご出自を問題にしたのです。しかしこれはガイゼル伯の大きな心得違いだと拝察しました」
「つまり、それはどういうことですか」
シュテルツは議長の言葉で対していた。
「失礼ながらガイゼル伯はご自分の裏の事情と、ハインツ様のご出自を取り違えておられます。ここは次期国家元首を選定する厳粛極まる場所です。そのため雰囲気にのまれて筋違いなことを口走られたと思うのです」
オルグはガイゼルに対し敬語を使っていた。
しかし言葉の底に伯を愚弄しかねないものが潜んでいる。