彼女の目が問いかけるように、
「あの、この方は、どなたでございますか」

「アーロン様よ、ネイラ」

「そうです、アーロン・ハインツ様です」
 壁際に立っていた執事だった。
「そして国軍の最高司令官様でいらっしゃいます」

 ネイラが瞠目した。すぐ飲み込めないように固まっている。

 アーロンが言い添えた。
「もう少し言えば、このソフィーの夫でもある」
「ええっ!」
「彼女はこの屋敷の女主人だ。もしお前がここに居たければ、好きなだけ滞在してもいいのだ、ソフィーの采配でな」

 ネイラが絶句した。
 あんぐり口を開けてアーロンを見ていた。