カーテンの隙間から外が見える。
 もう夜になっていて月の光が射している。
 おぼろに見えるのは宮殿のような大きな建物だった。広い敷地の中にそびえるように建っている。

「あの、ここは王都の王宮でございましょうか」
 ネイラという女が聞いた。
「もしかして、息子はここの牢獄に入れられるのですか」
 ティムがぞっとして息を止める。

「まあ、宮殿ではないが」
 おだやかな方の兵が告げた。
「この屋敷のご当主様が、お前らをここに連れて来いとおっしゃったんだ」

「連れて来てどうするんだよ、俺を処罰するのか。ええっ? 俺はどんな目にあわされるんだ」

 暴れんばかりのティムを、両脇の兵が押さえつけた。

 ネイラがそれを見る、彼女は震えながら、
「あの、それでさっきの、あの騎士様はご無事でしょうか。お怪我のほどはいったい」
 
 兵はとたんに口を閉ざした。
 目が、それ以上干渉するなと言っていた。