鏡の中に、壮麗な貴婦人が現れた。

 胸元のレースはけむるほど精密で華麗だった。
 それに縁どられた自分はまるで別人のようだった。

 薄紅に彩られた唇、そしてやや赤みを帯びた頬、それらを純白のレースが際立たせてくれている。

「本当にお美しゅうございます」
 リズがため息をついた。


 前々日、アーロンは言ったのだ、
『まずは内輪での式をすればいいのだ。そうすればソフィーが使用人に気を使うことはないだろう。正式な披露はその後で行えばいいのだ』
 と。