不審がるように見つめても、彼はフッと笑みをこぼすだけ。

これ以上聞いても、きっと、納得できる答えは返してくれないのだろう。

諦めた私は、キングから4階の彼らへと視線を戻す。

「……1学期の美奈はね、テスト期間中、すごく楽しそうだったの」

レーンの前に立ち、ボールを手にする彼女を眺めながら、数ヵ月前を振り返っていた。

「岡垣くんは部活で、普段は一緒に帰れないから、部活がないその期間は……朝から本当に嬉しそうで」

“ずっとテストだったらいいのに”

そうまで言っていたのに、人の心ってこんな簡単に変わってしまうものなの?

「今回は、1日も一緒に帰ってなかった。普段と同じように、私に“帰ろう”って言ってくるし、今日なんか……寺尾たちを入れて4人で遊ぼうとしてた」

“最近の美奈、ちょっと苦手”

再び思い出す、自分の言葉。

美奈の心には響いていなかったとわかっていても、罪悪感は募る。

「断るとき……私、美奈にきついこと言っちゃった」

はぁ……とため息をついて、ココアをひと口飲む私。

話していた間、静かに4階の様子を見ていたキングは、

「まだ3回目か。ボーリングって時間かかるよな」

そうつぶやき、退屈そうにしながらカバンの中に手を入れる。