私が足元の収納ケースにリュックを置いている間、彼はストローの袋の端をちぎりながら、窓の向こうを眺めていた。

4階のボーリング場の天井は吹き抜けになっていて、そこで遊んでいる人たちの様子がよく見える。

「いたいた」

そうつぶやくから、隣に腰かけた私も視線の先に目を向けたのだけれど。

「……え」

なんと、そこには寺尾と並木のふたりと遊ぶ、美奈の姿があった。

レーンの前には並木がいて、ベンチに腰掛けるふたりは仲良さそうに話をしている。

「結局、遊びに行ったんだ……」

きつい物言いで傷つけてしまったと後ろめたさを抱いていたけれど、私の言葉は何も通じていなかったことを知って、がっかりした。

それにしても……。

「なんでここにいるってわかったの?」

私の過去の気持ちも知っていたし、今もここに3人がいるとわかっていた。

一体、どこでそんな情報を手に入れたのだろう。

たずねると、3人を見ていた彼の目が、私に向く。

「別れさせ屋、だから」

「……」

全然、答えになっていない。