美奈は私にまっすぐな視線を向けて、もう一度。

「全然似てないよ」

同じことを言ってきた。

「……美奈」

なんで、今、岡垣くんの名前が出てくるのだろう。

そう思うと同時に気づく。美奈は、私が好きだったことを知っていたのだな、と。

「それは……。でも、別に……」

どう返せばいいのか迷ってしまう。

“いつから知っていたのだろう”

“でも今はなんとも思っていないし”

いろんな考えが頭の中をさまよい、今言うべきことが見つからない。

言葉を詰まらせていると、美奈は付け足すように言う。

「もう隠さなくていいよ。……私たち、別れたから」

「……え?」

耳を疑った。

「別れたって……、なんで?」

だってこの前、一緒に帰っていたじゃない。

そう心の中でつぶやくと、その声が聞こえてしまったのかと思える返事が返ってくる。

「一昨日……付き合った場所で、別れてきた」

付き合った場所。その言葉を聞いて思い出したのは、キングと歩いた遊園地の景色だった。