しんと静まった室内の中、机のそばの小さな金魚鉢からポコポコと、空気の浮上する音が聞こえてくる。

「美奈、あのさ……」

寺尾とは今どういう状態なのかを聞きたい。

でもその前に、謝った方がいいのかもしれない。

そう思うけれど、どこから謝ればいいのだろう。

苦手だと言って傷つけたことからか、それよりももっと前の、恋バナをしづらくしたことからか。これまでの自分を振り返り、声をかけてからも言葉を詰まらせていた。

すると、彼女は私の言葉を待たずに、口を開く。

「マチって、ああいう人が好みだっけ?」

キングのことを思い浮かべての質問だった。

「……どう、だろ」

好みかと聞かれれば、違うと思う。

どちらかと言えば、じゃないほうに入るはずだ。

けれど、容姿はかっこいいと思う自分がいるし、好きになっていることに気づいてからは、仕草や声も素敵だと感じてしまう。

あいまいに答えると、美奈は目を伏せて、ぽつりとつぶやく。

「大樹と全然似てない」

「……え?」

岡垣くんの名前を口にされ、胸がどきっとする。