計算高くて、ワルイ男。

だけど、趣味があって一緒にいると楽しい。

無言の時間も苦じゃなかった。

それなのに、いつも胸が高鳴って、落ち着かない。

この男の隣は不思議な気分になる。

でも、ずっと昔から一緒にいるかのように、その隣がとてもしっくりきていた。


「やっぱり好きだな」


無意識だった。

ぽろっとこんな言葉を発していたのは。


言葉を発した本人であるわたしも行った言葉の意味を理解して驚いたけれど、わたしに負けないくらい目の前の男も驚いている。


「ねえ、柚葉ちゃん。今好きって……」

「ち、違うんです!えっと……ドラマ!そう!ドラマ!このドラマが好きだって言ったんです」


恥ずかしすぎて、目が合わせられない。

苦しい言い訳もこれ以上出てこない。

すると、力いっぱい抱きしめられて、この男の気持ちも伝わってくるようだった。