「ただ、性格がちょっと……あれじゃないですか」
「素直じゃないところとか?昔からそーだったんだ」
「そうです。昔の方がひどかったかもしれませんね。今なんてかわいい方ですよ」
「そうなんだ。その頃の柚葉ちゃんに会ってみたかったなあ」
すると、この男はわたしの方を見て「素直じゃなくてかわいくないところが、柚葉ちゃんのかわいーところだもんね」と言うものだから、後ろで七海が興奮していた。
わたしはさっきから悪口を言われているような気しかしないのだけれど。
「悪口ですか、松葉さん」
「悪口?俺が柚葉ちゃんの悪口言うと思う?」
「そんなこと知りません」
「ね?かわいくないでしょ。そこがまたいいよね」
後ろにいる七海に共感を求めると、この男はおかしそうに笑った。
もうすっかりこの男の手中に収まった七海は、すっかり気に入った様子だった。
しかも去り際に。
「松葉さん、この子、松葉さんと関係を進めるのが怖いみたいなんです。また傷つけるかもしれないって。だから、この子のこと、よろしくお願いしますね」
こんな爆弾を落として、去っていった。