お酒も入っているからか、あまり初対面の人への口調とは思えない七海のこんな姿は珍しい。
こうして、奇妙な組み合わせでのドライブが始まろうとしていた。
「2人はいつからの友達なの?」
「えっと、高校のときからです」
「高校のときからかー。仲いいんだね」
この男はいつもの雰囲気と少し違う。
よそ行きの会話の回し方というか、とにかく2人でいるときと何かが違う気がする。
「松葉さん、高校の頃の柚葉の話聞きます?」
「それはぜひ聞きたいな」
「ちょっと七海!」
慌てて彼女の口を塞ぎたかったけれど、わたしは助手席、彼女は後部座席に座っていてそれができない。
結局諦めて、何を言われるかわからない不安な状態で、わたしは窓の外を眺めることにした。
「柚葉、昔から顔はいいのですごくモテてはいたんですよ」
「やっぱりね。そーじゃないかとはずっと思ってたよ」
「顔話いいのでモテるんですよ。顔はいいので」
「ちょっと2回も同じこと言うのやめてくれる?」
わたしのツッコミは聞こえていないのか、彼女はどんどん話を進めていった。