「……夏向ってさ、恋とかしたことあると、思う?」
自分でも意味わかんないこと聞いた。
うん、超分かってる。
歩夢もそりゃ、『何言ってんのこいつ』って目で見ちゃうよね。
だって、気になるじゃん。
普段あんな様子の夏向が、好きな人の前でどんな感じになるのか。
「凛久、まじで言ってんの? それ」
「……え? 大真面目なんだけど…?」
「じゃあ天性のバカだわ。つかもう才能でしょ。治んないね、おつかれ」
「え!?」
なんで急に罵倒大会!?
じゃ、じゃあ。歩夢は、知ってるの?
夏向に好きな人がいるかどうか、それとも。
もしかしてだけど……誰を好きとかまで、把握済み?
「え、夏向って誰がすきなの?」
「……さあ? そんな鈍感バカな凛久チャンに教える義理、ないかな」
白々しく言って立ち上がった歩夢を下から見上げる。
ど、鈍感バカ……!?
聞き捨てならない言葉が聞こえましたな……?