そんなワードが飛び出すと思わなかったから、言われた言葉をそのまま聞き返してしまった。
「どっからどう見ても、カナのこと好きだけどね、凛久」
「……え、だから好きだって」
「あー、ハイハイ。超がつくほど鈍感な凛久チャンの相手してる暇なかった、はやくご飯食べよー」
急に投げやり……。
歩夢の言うことは、親友のあたしでもよくわからないときがある。
ご飯って、そのパン一個じゃん。
歩夢、ダイエット中だっけ? それとも金欠?
どうでもいいことを考えていたら、また自然と教室のドアで話す二人のほうへ視線が動いていた。
仲、いいんだなあ。
……あ、綾野さん、いま夏向の裾をつかんだ。
うっわ、その顔かわい……女でも惚れそう。
…夏向は、綾野さんのこと、好きになったりしないのかな?
ないかな。
夏向、他の男子と比べても女子を見る観点ずれてるし。