そんなこと言われても……


人間の小娘が、知り合ったばかりの魔王様にお願いできることなんて……


すぐには思いつきそうもない。


何でもいいから! うーん……


……あっ、大災害級の魔法を見せてくれ、とか?


うわー、ない! ないわ! それは絶対にダメ!


「ええっと……魔王様にしてほしいこと……」


魔王様が諦めたように小さく息を吐いた。


「すぐに思いつかなくてもいいよ。また考えておいて。それで、雑誌を読んだ他は? 何かした?」

「リナさんが別棟を案内してくれて……そのあと、リナさんが買ってきてくれたスイーツを、みんなでおやつに食べました」


カチャーン……チャーーン……


魔王様がフォークを皿の上に落とした音が、ダイニングルーム中に響いた。


「……スイーツ……」


えっ!? 何かマズかった?


「みんなで食べて……それはおいしかった? 楽しかった?」

「はい……おいしかったし、楽しかったです」