カタログを吟味して、家具一式を選ばせてもらった頃には、すっかり時間が過ぎていた。


そのとき、リナさんの耳がピクッと動いた。


「魔王様がお戻りになったようです。一緒にお出迎えしてみませんか?」

「あー、そうですね。魔王様とは、丸1日会ってないことになりますし」


客間を出て廊下を歩いている途中で、玄関ホールにいる魔王様と目が合った。


先に出迎えに来ていたレオさんにマントを外してもらいながら、自分で手袋を脱いでいるところだった。


「ミクルだ! ただいまー。よかった、今日は顔色も表情も明るくなったね。へー、そういう色の服あんまり見ないけど、いいと思う」


魔王様は、私の着ている青いワンピースが珍しいみたいだった。


そして、褒めながら、本心では少しもいいと思ってないことが透けて見える気がした。


ちょっと意地悪してみることにした。


「具体的に、どういうふうにいいと思いますか?」