「『ひとり』と言っても、城までは配達してもらいますから、城から別棟まで運ぶだけです。だから大したことではないですよ」
「えっ、壁紙って重いんじゃないですか?」
すごく大したことに思えるんだけど?
「そうですか? そんなこともないと思いますけど……」
リナさんは、まるで虚をつかれたみたいな顔をした。
ひと部屋分の壁紙が重くないなんて、リナさんって、ひょっとしてめちゃくちゃ力持ち?
あー、そっか! 使い魔は本来、戦闘要員なんだっけ。
リナさんは細い身体で、動きも上品だから、そんなふうに見えないけれど。
「続いて、家具のカタログもご覧ください」
こっちは、壁紙よりもずっと分厚かった。
「なら、今日は俺が夕食の用意するから、リナさんはミクル様と一緒にいてよ」
レオさんは『今度こそ期待してなー』と、自信たっぷりに私に笑いかけた。
そして、スイーツを食べるのに使ったお皿やフォークを片付けて退席した。