「ヒール役の天使が登場する本って、書斎にもありますか?」

「いっぱいあるよ」


おっかなびっくりな見た目のスイーツがこんなにおいしかったみたいに、『うふふ』な天使が攻撃してくる小説も面白い予感がする。


またあとで行ってみようっと。


熟考した末に、壁にピスタチオグリーンを、そして天井にはその青空と雲の壁紙を採用することにした。


昼間でも薄暗い魔界にあっても、私の部屋だけは切り取られて、人間界に存在しているみたいに錯覚できると思う。


「張り替えたあとでも、やっぱりキツいなって思ったら、無理せず言いなよ?」

「魔王様のお母さんじゃないんだから、キツくなんてならないですよー」


真剣に心配してくれればくれるほど、逆に可笑しくなってしまう。


「では、手配しておきますね」

「もしかして、リナさんひとりで取りに行くんですか?」


大丈夫なのかな……