リナさんがお土産に買ってきてくれたのは、ザッハトルテを極限まで真っ黒(イカ墨ぐらい)にして、どぎつい赤色をしたベリー系のフルーツを上面にぎっしり並べたみたいなスイーツだった。


おおう、ヤバそう……


けれど、このときまでにリナさんのことはすっかり信用していた。


だから口に運ぶのに、ひるむ必要なんてなかった。


「わあ、甘さと酸っぱさが絶妙にマッチしてておいしいです!」

「俺も、俺も! うおっ、最高にうめー!」

「午前中だったので、人気No.1のこれがまだ売り切れてなくて買えたんですよ」


3人でほっぺたを落としながら食べた。


「あっ、そういえば……ミクル様に確認していただきたいものがあったんです」


食べ終えたリナさんが、おもむろに立ち上がった。


そして、ファイルを手渡してきた。


何だろう?


開いてみると、台紙に5センチ四方ぐらいの厚紙のようなものが整然と貼られていた。