目の前のレオさんはどう見たって、生きて動いているのに……


理解が追いつかなかった。


「だから、決められた範囲以上のことをしたいっていう欲求はおこらないんだよね」


それって、なんだか寂しい気がする。


けれどレオさんにとっては、それを寂しいことでも何でもないわけで……


そのこともまた寂しいと思った。


「レオさんがそうってことは、リナさんも?」

「そうだよ。考えてもみなよ。使い魔が好き勝手に希望を言い出したら、使い魔にならないじゃん」

「そうかもしれないけど……」


魔王様は臣下の人たちと、とてもじゃないけれど、仲がいいとはいえない雰囲気だった。


その上、近しい家族も友達もいなくて、昨日までは使い魔であるレオさんとリナさんしかそばにいなかった。


そのレオさんとリナさんも、魔力で動いているだけで生きていない……


魔王様の孤独が浮かび上がってくるようだった。


レオさんだけでなく、魔王様のことも寂しいと思った。