リナさんが出掛けてしまうと、私とレオさんだけが残された。


同じ使い魔なのに、こうやって外出するリナさんに対して、『別棟から出たことがない』というレオさん……


「レオさんは、自分でスイーツを買いに行きたいと思わないんですか?」

「俺? 思わないよ。だって、そういう仕様に作られてるから」

「そういう仕様……?」

「そっ。俺の仕事は、別棟で魔王様が居心地よく生活できるように世話を焼くことだけ」

「でも、仕事と関係なくプライベートで外出してみたいとかって思わないんですか?」

「思うわけないじゃん。俺、魔王様の魔力でこういう形をして動いてるけど、生命体じゃないもん」

「……それって、感情がない……ってことですか?」

「感情はある。嬉しいとか悲しいとか、痛いとかも感じる。あっ、あとおいしいもね! さっきリナさんにお土産頼んだけど、俺ってホントは食べる必要なんてないんだ」

「えっ、どうやって生きてるんですか?」

「だから、俺は生きてないんだって。魔王様からもらう魔力で動いてるだけ。睡眠も取らないよ」