服! そういえば、今日までに用意してくれるんだった。
「もしかして、それもワイバーンが届けてくれるんですか?」
「いえ、魔王様の住居であるこの別棟に配達できるのは、特別に訓練されたワイバーンのみなんです。ここは謂わば陸の孤島のようなものですから、とても難しくて、1頭しかいないんですよ。ミクル様の衣料品は、私が今から店まで取りに行ってきます」
あれ? ここが『陸の孤島』だって言うなら……
「リナさんはどうやって外に出るんですか?」
「一旦、城まで行きます。城の外に出れば、公共の交通機関がいくらでもありますから」
なるほど。だけど……
「リナさんはあの回廊、平気なんですか?」
「このことは別棟の住民以外には秘密なのですが、警備システムは、別棟の主人である歴代の魔王様の魔力を感知できる仕掛けになっているんです。私は前・魔王様の魔力でできていますから、迷うことも魔獣に襲われることもありません」