「あっ、そうだ」


レオさんは何か思いついたらしい。


客間から出ていき、でもまたすぐに戻ってきた。


「退屈だろ?」


レオさんが手渡してくれたのは、どうやら魔界の若い女の子向けファッション雑誌のようだ。


「えーっ、これ誰のですか?」


この別棟の住人に該当者がいるとは、とてもじゃないけど思えない。


「昨日のうちに注文しておいたら、今朝の定期便で届いた。あと、若い子たちの間で流行ってる小説も何冊かあるよ」

「定期便?」

「食料品とか生活雑貨とか、毎朝届けてもらってんの。ごく一般的なものなら大抵は届けてもらえるよ。ミクル様もほしいものあったら俺に相談して」


迷路のような回廊と、その周辺にいた魔獣が思い出された。


「誰が届けてくれるんですか?」

「ワイバーンだけど?」


な、なるほど……


「どれどれ……へえ、魔界にもこういう雑誌はあるんですね」