「でも魔王様のお母さんには友達がいたんですよね? 魔王様と違って命を狙われることもなく?」

「俺もそんときはまだ存在してなかったから聞いただけなんだけど、前・魔王様は即位のときに圧倒的な力を見せつけるために、パフォーマンス的に反対派を粛正したんだって」

「えっ、なんだか物騒!」

「うん。魔界のあちこちを大災害レベルでめちゃくちゃにしたらしいよ。魔族って破壊することはできても修復することはできないから、そのあとが本気で大変だったみたいだね」


奇想天外すぎて、私では想像ができない。


「魔王様が即位したとき、前・魔王様からは『同じことしろ』って言われたけど……」


えっ!?


背筋がぞぞぞーっとした。


「拒んだんだ。命狙われる度……っていっても1年に1回あるかどうかなんだけど、その度にそいつらだけ罰してる。面倒だと思うんだけど、『そのほうが被害が小さくて済むから』って」