それから少しして、私の部屋の……という実感はないけれど、ドアがノックされた。
「ミクル様、朝になりましたが、朝食はどうしましょう? 今日はダイニングルームで食べてみませんか?」
リナさんだった。
今って朝なんだ……。
私からすると、ずっと暗い魔界にも朝と夜の区別があるのは不思議。
昨日はあれからずっと部屋に閉じこもったままで、食事もリナさんに部屋まで運んでもらった。食欲がなくて、硬いパンみたいなのをかじっただけだけど。
そしていつの間にか眠っていたみたい。
この部屋でウジウジしていても気分が晴れることがないことだけは、昨日のうちに悟った。
「気分転換になるかもしれないし、そうします。顔だけ洗ったら、すぐに行きます」
私の部屋には、洗面所と浴室とトイレも付いている。ゴージャスなリゾートホテルの部屋みたいだ。ただし雰囲気を除いてだけど。
「かしこまりました。ダイニングルームは、昨日お通しした客間の向かいにありますから」