魔王様はソファに座り直して、私のほうを見た。


これからじっくり話そうとしてくれているのを感じた。


「僕はこれでも一応、魔界の最高権力者なわけね。だから、ぜひとも自分たちの一族から僕の花嫁を輩出したいって輩がわんさかいるんだ。でもその中から誰を花嫁に選んだって、揉めるのは必至で。下手するとまた命の危機だしさー。魔界は一枚岩じゃないんだ」


あー……もう先が読めてきた。


「もう一生独身でもいいと思って、のらりくらりかわしてたんだけど、毎日のように『一刻も早く花嫁を選定しろ』ってうるさくて。何か面倒臭くなったんだよねー。それで『我に相応しい花嫁を召喚する、誰が召喚されても文句を言うな』って宣言したんだけど……」

「いざ召喚してみたら、私が現れちゃったってことですか……」

「正解ー!」