カップのお茶を飲み干した頃、客室の外が騒がしくなった。


「あれじゃダメって何で!?」

「『ダメかもしれない』と言っただけ。断定はしていないですよ。ただミクル様は、一般的な若いお嬢様とは好みが違う可能性があります」


まさか、レオさんとリナさんが私のことで口論してる!?


「わけわっかんねー」

「まあまあ、ふたりで話してたって解決しないよ。今からミクルに確かめようよー」


ドアが開いて、魔王様が最初に客室に入ってきた。


魔王様の後ろにはリナさん、レオさんもいる。


「着替えたんだ。でも、その服、見覚えあるな」

「リナさんに借りました」

「そうだ、リナが着てたんだ! ミクルが着てたキテレ……んんん、ゴホンッ……あれも悪くなかったけど、そっちのほうがよく似合ってるよ」


リナさんが魔王様の背後から耳打ちした。


「あれはパジャマだそうです」

「ええっ!? 道理でキテレ……んんん……だと思った」


『キテレツ』って何回言うんだ……