決してリナさんを信用していないわけではない。
心配しているのは、魔界の飲み物を飲んでもいいのかってことだ。
リナさんがお茶を淹れる様子をまじまじと観察した。
抽出されたお茶は、おどろおどろしい色はしていてなかった。澄んだ紅色だ。
色んな角度から眺めてもまだ不安が拭えなかった私は、続いてカップを持ち上げてスンスン嗅いでみた。
甘い香りがした。フルーツティーなのかな?
躊躇しきりの私を見て、リナさんがクスッと笑った。
「ミクル様が飲めるお茶ですよ」
リナさんにそう言われると、あれだけ怖がっていたのが不思議なくらい、すっと口にすることができた。
「おいしい……」
ほおとため息が出た。
「気に入ってもらえて何よりです」
そうして、リナさんは魔王様を呼びに客室を出た。