「いいえ、これは魔王様の再教育が必要です」


リナさんは、私に対しては態度も表情も柔らかいのに、魔王様には厳しいんだな……


「ミクル様の部屋の準備が整うまで、客室にご案内しますね。その前に……」


リナさんは玄関ドアのほうへ向かい、何かを取って戻ってきた。


「今日のところはこれを履いてください」


スリッパだった。


慎重に立ち上がってみたけれど、もう目眩はしなかった。


スリッパはふかふかで履き心地がいい。


リナさんのあとに付いていった。


客室は、玄関ホールの突き当たりを左に曲がった先にあった。


それからリナさんは申し訳なさそうに、『一先ず私のをお貸しします』と、ワンピースをいくつか持ってきてくれた。


モノトーンで、しかもダークカラーばかりだった。


「パジャマよりも断然いいです! お借りします」