「ところでミクル様の靴が見当たりませんが?」

「ないです。魔王様に召喚っていうの? されたとき、裸足だったんです」

「まあ……それは魔王様が申し訳ないことをしました。私の方でご用意します。それとそのキテレ……個性的なお召し物も汚れてしまっていますので、よかったら着替えませんか?」


もしかして今『キテレツ』って言おうとした?


それよりも着替え!?


「わー、ぜひお願いします! ずっとパジャマでいるのは嫌なんで」

「パジャマ……?」

「はい。ベッドで寝てたら突然この世界に落とされたんです」


リナさんはほんの一瞬、『えー、ないわー』とでも言いた気な表情を見せた。


「それなのに魔王様は、ミクル様を謁見の間からここ別棟まで着の身着のままで歩かせたと……」


リナさんが深々と頭を下げた。


「それは重ね重ね申し訳ありません。魔王様に代わってお詫びします。私も教育不足でした」

「そんなっ、リナさんに謝ってもらうことじゃ……」


この様子だと、私の着ているものがパジャマだってことは、魔王様だってわからなかったんだろうし。