残ったのは私、レオさん、そしてリナさん。


魔界に来てから、時間の感覚がわからなくなっている。


それでも魔王様と最初に会ってから、まだ1時間も経っていないと思う。


そのはずなのに、魔王様が行ってしまった途端、心細くなった。


「魔王様、嫁を甘やかすタイプかー。んじゃ、ミクル様の部屋を用意してきますかね。ミクル様、俺の抜群のセンスを期待しててよ」


なぜだろう。嫌な予感しかしない……


「待ってちょうだい。その前に湯を張った桶とタオルを持ってきて」

「へいへーい」


手をヒラヒラさせながらレオさんが行ってしまうと、リナさんは私のそばに寄ってしゃがんだ。


「私がここへ来たときからの短時間のあいだにも、顔色はよくなってきましたね」


あっ! と思った。


リナさんが優しく微笑んだのだ。


リナさんが私のおでこに手のひらを当てた。