そしてリナさんの耳元で何か話した。
リナさんは頷いた。
「ええ、私も気づきました」
「さすがリナ。レオは未だ気づいてないと思うんだ」
「えっ、まさかと思うけど、ふたりで俺の悪口言ってんの?」
リナさんの後ろにいたレオさんが反応した。
「言っとくけど、俺の悪口はそっくりそのまま魔王様に返るよ? 魔王様の爪の垢を煎じてできたのが俺だから」
「そうだね。しかもガキだった頃の僕の爪だもんね。母さんの爪の垢から作られたリナとは違うよなー」
「『ガキだった』って言い訳するなんてダッセー」
「レオ、やめなさい。魔王様もいい加減、仕事にお戻りください」
「はーい。じゃあ、リナはミクルのことくれぐれもよろしくね。それからレオはミクルの部屋を準備しておいて。僕の大切なお嫁さんに相応しい部屋だよ」
魔王様は私を心配してくれて、何度も振り返りながら階段を上っていった。
そして階段を上り終えると最後に手を振り、それから通路の奥へと消えた。