今や私の中は魔界のことでいっぱいになってしまっている。学校ごとき(きゃっ、『ごとき』って言ってやった!)に譲ってあげられる余地なんてない。


まあ、学校に行けば、あれやこれやあるんだろうけど……


「行ってきまーす」


いつもと同じ靴のはずなのに、軽くなっていた。


そっか。足が軽くなるほど、今朝の私は気分が軽いんだ。


ところで、魔王様が転移魔法を使えば、いとも簡単に魔界と人間界を行き来できるんだなー。


だったら、魔王様の花嫁になったあとも、たまには実家に帰省させてもらえるかな……


って、違った! 全然『いとも簡単』じゃなかった!


毎回キス……するんだよね?


きゃー! 恥ずかしい!


でも、結婚したらキスも慣れるのかな?


きゃー、きゃー! それはそれで恥ずかしい!


……なーんて考えてる場合じゃなかった。


私は学校に着いてしまっていた。


いちいちダメージを負わないように、ここから気持ちを引き締めていかないと!