「ミクルは知ってた? 召喚の儀式でミクルが降ってきたあのとき、僕はミクルに一目惚れしたんだよ?」


『一目惚れ』って……なら、魔王様は私のこと……


「知らないっ、知らないですよ!」


一生懸命あのときの映像を脳内で再生する。


「ちょっと驚いてただけに見えましたけど?」

「ちょっとどころか、息が止まりそうになったよ。儀式中なのに、頭の中は花畑で大変だった」


そうだったんだ……


「それからも、クルクル表情を変えるミクルは可愛かったし、新しい生活にも馴染もうとがんばってくれるミクルは愛おしかった。僕には、ミクルがいない人生はもう考えられないからね……」


そう言って、魔王様はもう1回私に優しくキスをした。


そうして魔王様は私を残して、自分だけふっと消えてしまった。