「着いたはず。ここでいい?」


魔王様に聞かれて、ようやく周りを見ることができた。


そこは私の部屋だった。


でも、違和感……


『かつて私の部屋だった部屋』と呼ぶほうがしっくりくる。


今『私の部屋』と呼ぶのは、リナさん、レオさんとワイワイしながら作ったあの部屋のことだ。


「じゃあ、さっさと魔界を平和にしてくるね」

「お、お手柔らかにお願いします」

「それは難しいかなー。ミクル不足になる前に方を付けていまいたいから、スピード重視になるんだよね」


本気なんだか、冗談なんだか……確認するのは、怖くて躊躇われる。


「あんまりゆっくりしていられないな。僕はそろそろ魔界に戻るね」


魔王様が両手で私の頬を包み込んだ。