悪態をつきながらも優しかったであろう思春期の魔王様も、ついでに想像できた。


それにしても、乗り物に乗っていないはずなのに、乗り物酔いしたような気分。


「水でも持ってこようか?」


水を飲もうと思ったら上体を起こさないといけない。


それよりも今は横になっていたい。


「いえ、今は要りません。たぶんこのまま横になっていれば、そのうち頭に血が回って治ります」


目を閉じると、自分の体が渦に巻き込まれてグルグル回転しているみたい。


本当は足をソファに、もっというとアームレストに上げたいところだった。


でも素足で歩いたせいで汚れているから、足はソファから出して下ろしていた。


「あー、そういうことか。ちょっと失礼するね」