「そんな不安そうな顔しないで。でも、そうだなー。しばらく魔界は荒れると思うから、ミクルには避難しててほしいかも」
「避難? どこにですか?」
もしかして、前・魔王様のところとか?
「ミクルが元いた場所」
「へっ? えええー!?」
何それ!? どういう意味?
この状況下で、とてもではないけれど冗談を言っているとは思えない。
「それって……人間界ってことですか?」
「そう」
魔王様はけろっと答えた。
「だけど、魔王様は言ってたじゃないですか! 私のこと『送り帰せない』って」
「ごめんね。それも、ウソではないんだ。召喚したミクルを送り帰せないのはホント」
魔王様が弱々しく微笑んだ。
「だけど、僕が人間界に転移することは可能なんだ」
「あっ! そういうこと……」
「うん。だから、僕がミクルのことを転移魔法で送り届けるよ」