光と煙にやられて目が痛い。


細ーく開けてみると、ぼんやりとしか見えないものの、謁見の間を出てすぐの廊下にいるらしいことだけはわかった。


「魔王様……?」

「しっ!」


魔王様はどうやら謁見の間を窺っているようだ。


「おい、魔王がいなくなってる!」

「そんなことより、あの小娘の死体を探せ!」

「煙で何も見えません」

「腕や足1本でも構わん!」


魔王様の誕生日だっていうのに、とんでもないことになってるー!


魔王様は私のことを抱きしめ直すと、3度目転移した。


まだ痛いものの、ようやく目を開けられるようになっていた。


今度はお城の屋根の上にいた。


昼間でも薄暗いから、初デートで来たときと印象は大きくは変わらない。


ただ、城下街は人が多い分、起きて活動している感じがする。