危険なんだか平和なんだか……
なんだろ、頭がクラクラする……
「ミクル? どうした? そこのソファに座ろう。おいで」
魔王様がとっさに私を支えてくれた。左手の炎は消えていた。
別棟の中は明かりが点いていた。
暗くても見えるくせに、明かりは点けるんだ……
別棟も石造りだけれど、絨毯が敷き詰めてあるし、家具や装飾品もあるせいか、雰囲気が寒々しくない。
……私の趣味とは違うけれど。
よろけながら、だだっ広い玄関ホールの隅にあるソファまで辿り着いた。
ソファに腰掛けようとしたつもりが、そのまま倒れ込んでしまった。
「うわっ、危ない! ミクル、大丈夫だった?」
視界がボヤけている。脳貧血かもしれない。
「こういうときは魔王様や俺より、女性のほうがいいんじゃない? リナさん呼んでこよっか?」
「そうだね、そうして」
レオさんの革靴の音から、駆け足なことがわかる。
口は悪いけど、本気で心配してくれている。優しい人だ。