底なしではなかった。


はるか下方に地面らしきものが見えてきた。


何あれ? 御影石?


あんな強度ありそうな床、いやーっ!


衝撃が来るかと体を丸めて身構えた。


着地の直前、私は密度の濃い、真っ白な煙に包まれたかと思うと、急に落下速度が下がった。


そして、ひんやりする床にふわっと落ちた。


何が起こったのかさっぱりわからない。


でも私、生きてるっ!


恐怖と安堵とがぐちゃぐちゃで、涙がボロボロ溢れた。


私を取り巻いていた白い煙が徐々に薄くなっていく。


ここは?


私は天井が高くて、だだっ広い部屋の中央にいた。


部屋というより、石造りの体育館……のような……?


そして、ギョッとしたのだった。


大勢に囲まれ、それらの視線を一挙に集めていることに気がついて。