そう言いつつも、ふたりはまだ込み上げてくる笑いを抑え切れないでいた。
「ふたりとも酷いよ。僕は大真面目なのに……」
魔王様は渋い顔で、ぶつぶつ文句を言った。
しばらくしてふたりの笑いが引いたので、ようやく私は質問することができた。
「あの……私って、今そんな爆笑されないといけないような状態なんですか?」
リナさんもレオさんも急に慌て出した。
「違うんです! 魔王様は心からミクル様のことを大事にされているんだな、と思ったら微笑ましかっただけで……」
「そうそう! こんなマーキング、初めて目の当たりにしたってだけで……」
「ま、マーキング!?」
魔王様、何してくれちゃってんの!?
私は抗議の意味で、魔王様をじとっと見た。
「で、でもですね、権力があるからとかでなく、純粋に魔王様に恋心を抱いているご令嬢もたくさんいるんです。ですから、この際、魔王様がミクル様をしっかり想っていることを、存分にアピールするべきなんです」