魔王様から手を離した途端、背中がゾクゾクするのを感じた。


そして間もなく、後ろから猛獣の鳴き声のようなものが聞こえてきた。


私は今歩いてきた回廊を振り返った。


「えっ、どういうこと!?」


ここまで来るのに一直線ではなかった。何度も折れたし、階段も上り下りした。


だけど一本道だった。


そのはずが、回廊は分岐しまくって、上下左右複雑に絡まっているように見える。


そしてその合間に、見るからにヤバそうな生き物がいる。ライオンやらコンドルの進化形みたいな。


進化形といっても、ネコがライオンになるみたいな、非現実的な進化を遂げないといけないレベル。


「魔王やるのも大変なんだ」


魔王様は何か呟いて、もう1度私の手に触れた。


すると回廊は元のすっきりとした一本道に戻り、ヤバい生物も消えてしまった。