それから2日後。
朝食を食べに1階に下りていくと、ダイニングルームに入る前にリナさんに呼び止められた。
「ミクル様、見てください。どうですか?」
リナさんは生地の束をいくつも丁寧に抱えていた。
薄くて柔らかそうな生地、厚手のしっかりとした生地、それからレース生地まであった。
どれも明るい青ばかり。ライトが当たってキラキラ輝いている。
思わず、ほうっとため息が出た。
「これ全部、前・魔王様が?」
「はい。今朝、いつもの食料受け取りの際に、置いていかれました」
「うわあ、母さん、ホントに張り切ったなー」
魔王様が私の頭越しに、リナさんの手元を覗き込んだ。
「わっ、魔王様、おはようございます」
仲睦まじくしなといけないのは理解しているのに……